中古ドメイン取引のリスクと対策

近年、中古ドメインの市場が活発化しています。

特に、過去に自治体や大手企業が使用していたドメインが高額で取引されるケースが増えています。

弊社でも自治体のサイト運営をしておりますが、過去に自治体事業で使用したドメインは、終了後も数年程度は契約をして管理しておかなければならないと感じています。

今回の記事では、これらの手放された中古ドメインが、

• なぜ高値で取引されるのか？
• その背景にはどのようなリスクが潜んでいるのか？
• これらのリスクから自社や消費者を守るためにはどのような対策を講じるべきなのか？

を解説します。

中古ドメインとは

まず前提として中古ドメインについて説明をしていきます。

中古ドメインとは、過去に誰かが使用していたドメインが手放され、再登録可能な状態になっているものを言います。

再登録可能な状態になった中古ドメインは、誰でも取得することができます。

ドメインというのは、この弊社サイトであれば、この文字列となります。　→　webroad.co.jp

中古ドメインのメリット

中古ドメインは、以前そのドメインで運営されていたサイトの、検索エンジンの評価を引き継ぐことができます。

いわゆるドメインパワーと呼ばれている評価のことです。

検索エンジンの評価は、ドメインの年齢、バックリンク数（どれだけそのドメインにリンクが向けられているか）、コンテンツの質などによって決まります。

皆が取得したいと考える中古ドメインは、これらの評価が比較的高い状態のもので、新規ドメインよりもサイト公開時からすぐに検索エンジンの上位に表示されやすい傾向があります。

中古ドメインのデメリット

メリットの逆になりますが、以前のサイトが、低品質なコンテンツやスパムサイトだった場合、その評価が中古ドメインに引き継がれ、検索エンジンからの評価が下がる可能性があります。

また、中古ドメインは、以前のサイトの所有者が権利を放棄したものではありません。

例えば、ドメイン名で登録商標や商標権を取得している場合は、そのドメインの使用は法的に許可されませんので、このような場合は権利関係に注意が必要です。

中古ドメインの選び方

中古ドメインを取得する際には、以下のポイントを押さえることが大切です。

ドメインパワーを確認する

ドメインパワーは、検索エンジンの評価を示す指標です。

ドメインパワーの高い中古ドメインは、新規ドメインよりも検索エンジンの上位に表示されやすい傾向があります。

ドメインパワーは、以下の方法で確認することができます。

• ドメイン検索ツールを使用する
• ドメインのバックリンク数を確認する
• ドメインの登録年数を確認する

以前のサイトの評価を確認する

以前のサイトの評価が高い中古ドメインは、検索エンジンからの評価も高くなりやすい傾向があります。

以前のサイトの評価は、以下の方法で確認することができます。

• 以前のサイトのコンテンツを確認する
• 以前のサイトのバックリンク数を確認する
• 以前のサイトの検索順位を確認する

権利関係を確認する

中古ドメインは、以前のサイトの所有者が権利を放棄したものではありません。

そのため、中古ドメインを取得する際には、権利関係に注意が必要です。

権利関係が複雑な場合は、弁護士など法律の専門家に相談することをおすすめします。

中古ドメイン取引の背景

中古ドメインが高値で取引される背景には、既に検索エンジンでの信頼性が確立されていることや、特定のキーワードに関連したドメイン名であることが挙げられます。

これらのドメインは、新規にサイトを立ち上げる際にSEO対策として有利に働き、訪問者数の増加を見込めるため、高い価値が付けられます。

問題の発生

問題は、これら中古ドメインが正規の事業者によって使用される場合もあれば、悪意のある利用者によって個人情報を収集するサイトや詐欺サイトとして利用される場合もあることです。

過去に公的機関など、信頼されていたドメイン名を悪用されると、消費者はそのサイトを安全だと錯覚しやすく、被害に遭うリスクが高まります。

問題への対策

このようなリスクを避けるためには、ドメイン名の取引においてより厳格な審査を導入することが必要ではないかと思います。

事業者が会社ドメインを放棄する際にはその後の利用方法を考慮することが重要です。

また、消費者に対しては、ウェブサイトの安全性を確認する方法を発信し、啓蒙していくことも必要ではないかと考えています。

事業者への注意点

事業者は、使用しているドメインが契約期間終了後にどのように利用される可能性があるかを常に念頭に置き、ドメインの管理には細心の注意を払う必要があります。

特に長期にわたって使用してきた事業用のドメインや単発でも公的機関が利用していたドメインは狙われやすい傾向にあります。

例えば、コロナ禍で飲食業界に補助金が出た「GO TO EAT」事業では、使われなくなったドメインが悪用された事例が報告されています。

自社のブランドや信頼性を守るためにも、ドメインのセキュリティ管理を徹底し、中古ドメインの取引市場での自社ドメインの動向にも注意を払うことが求められます。

まとめ

中古ドメインの市場は、SEO対策やブランドイメージ向上のための有効な手段として注目されています。

しかし、その背景には、過去にWeb上で確立された信頼を悪用した詐欺や個人情報収集のリスクが潜んでいます。

これらの問題を防ぐためには、事業者はドメインの管理とセキュリティに細心の注意を払うとともに、消費者に対してはウェブサイトの安全性を確認する方法を啓蒙することが重要です。

インターネットの安全は、事業者とユーザーが協力して作り、守っていくべきものであることを念頭に、適切な対策を講じることが求められます。