今回は、ある理化学機器の輸入商社様が、補助金を活用してホームページのリニューアルを行われた際のお話をご紹介します。
社内にWebに詳しい専任担当者がいない中でも、外部パートナーとうまく連携しながら、目的達成へとしっかり進められました。
補助金をきっかけに始まったホームページリニューアルの検討
最初のご相談は、メールフォームから、補助金を活用してホームページを新しくしたいというものでした。
理化学機器の輸入販売を行う企業様で、今回のリニューアルの主な目的は主力商品の認知度を高め、新規顧客を獲得していくことでした。
中でも、今後注力していきたいと考えておられたクリーンルーム関連の製品を中心に、BtoB向けの集客導線を構築したいという明確な方針がありました。
ご予算は50万円で、補助金制度の採択も無事通過。その予算をもとに、外部のWeb制作会社に制作を依頼する形でプロジェクトがスタートしました。
要件の整理と、外部パートナーの選定方法
Web専任者が社内にいない状況の中、担当の方は数社のWeb制作会社に見積もりを依頼されました。
問い合わせフォームから必要事項を送信し、数日以内に各社から返信があったとのことでした。
その際、明確に伝えられていた要件は次の通りです。
- 製品紹介を目的としたBtoB向けのWebサイトを構築したい
- お問い合わせフォームを設置したい
- 更新作業を社内で行いたいため、WordPressを導入したい
それに対し、各制作会社からは予算内で実現可能なサイト構成案や概算見積もり、過去の制作事例などが提示され、方向性のすり合わせが始まりました。
この時点での費用は、あくまでサイト制作費用に限定されており、その後の保守管理や運用費用は含まれていませんでした。
サーバー環境の見直しと移行計画の立案
担当の方から現行のレンタルサーバー情報を共有いただいたところ、使用されていたサーバーが最新のWordPressに対応しておらず、セキュリティ面や運用面でも不安が残る状態でした。
そこで弊社からは、信頼性が高くコストパフォーマンスにも優れたエックスサーバーへの移行をおすすめし、そのために必要な作業を以下のように整理しました。
- 新しいサーバーの契約(こちらはお客様にて手配)
- ドメインの移行設定
- メールサーバーの再構築
- DNS設定の変更
移行作業を円滑に進めるため、弊社では管理画面のアクセス情報のご提供をお願いし、作業代行が必要な場合はその費用も明示したうえで対応させていただきました。
ウェブロードではドメインやサーバーの移転作業やメール設定などの部分に、充分な知識や経験がありますので、そこが弊社にご依頼してくださる決め手になったのかもしれません。
メール中心での進行と、認識ズレを防ぐ工夫
リニューアル制作は基本的にメールでやり取りをおこなわせていただきました。
特に注意を払ったのは以下の3点です。
- 制作費用に含まれる範囲と、追加費用が発生する内容の明確な整理
- サーバー移行に伴うタイムラグや不具合を防ぐためのスケジュール調整
- 契約書類やサーバー情報など、必要なデータを適切に共有する段取り
こうした基本的なコミュニケーションを丁寧に重ねることで、認識のズレや工程上のトラブルを未然に防ぐことができました。

要件定義からサイト設計、そして構築作業へ
弊社では、初回ヒアリングの内容をもとに、全体のサイト構成案とトップページのラフ案を作成いたしました。
ラフ案といっても、デザインカンプのような画像を作り上げるものではなく(デザインカンプの制作には、おおよそ2日程度の工数がかかるため)、弊社ではこの工程は通常は省いております。
代わりに、インストール済みのWordPress上に、トップページの概要やパーツのイメージを配置し、ラフ案としてご確認いただけるようにしています。
この形ですと、パソコンのブラウザでも確認できますし、スマホで見た時のイメージも掴みやすいのでおすすめです。
これをお客様にご確認いただきながら、フィードバックをもとに修正を加え、実装フェーズへと移行していきました。
この段階で重点的に取り組んだのは次の3点です。
- BtoBの訪問者が求める情報を整理し、直感的にたどり着ける構成にすること
- スマートフォンやタブレットでも快適に閲覧できるよう、レスポンシブ対応を行うこと
- お客様自身で更新・修正できるよう、操作性の高い管理画面を設計すること
構成・デザイン・使いやすさの3軸を重視しながら、必要な仕様を一つずつ形にしていきました。
サイト公開前の確認と、切り替え時のトラブル防止策
構築が完了した段階では、弊社側でテスト環境を設け、新しいサイトの表示や動作をお客様にご確認いただきました。
本番公開の際には、以下のようなトラブル回避策も講じました。
- 旧サイトやメールデータのバックアップを事前に取得
- メールサーバーの切り替えタイミングを業務に支障が出ないよう調整
- ドメイン移行に伴うアクセス障害を最小限に抑えるための作業手順を準備
ちなみにホームページ用のWebサーバーと、メール用のメールサーバーを分けて運用することも可能です。
そのため、「現在のサーバーで多数のメールアドレスを運用しているから、サーバー移転が難しい」とお考えの方でも、ホームページ部分だけを別サーバーに移転させ、現在ご利用中のサーバーはメールサーバーとしてそのまま運用を続けるという選択肢があります。
このような運用は、DNSのレコード設定により実現可能です。
サーバー移転の障壁が「メールの移行」であるという事業者様は、ぜひ一度ご相談ください。
さらに、公開後の保守対応についても事前に範囲を明示し、運用開始後に不安が残らないよう配慮しました。
振り返りと、リニューアル成功の要因
今回のプロジェクトは、Web専門スタッフがお客様の社内にいない状況でも、外部パートナーとしっかり連携しながらであれば、計画通りに進行できるという良い事例です。
成功の背景には、いくつかの重要な要素があったと感じています。
- 担当の方が目的を明確に言語化され、それに対して弊社ができること・できないことをきちんとご説明できたこと
- サーバーやドメイン、メール設定といった専門的な領域を弊社にお任せいただき、全体の負担が軽減されたこと
- 進行中のメールでの確認が丁寧で、すれ違いを防ぐ工夫が継続的に行われたこと
その結果、リニューアル後のホームページは、BtoB向けに適したデザインと構成を備え、新規顧客の獲得につながる土台が整いました。
お引渡し案件であったため、弊社にて保守管理は行っておりませんが、時折、制作後の無期限サポートをお使いいただき、質問メールへの回答をさせていただくというお付き合いを継続させていただいております。
今回のように、補助金を活用したWebリニューアルは、専門知識がなくても進められます。
ただし、そのためには、制作会社と役割分担をはっきりさせ、認識を丁寧にすり合わせながら進行する姿勢が何よりも大切です。
弊社では、双方がお互いを尊重しつつ、対等なコミュニケーションを取れる関係の維持が、一番のポイントになると考えています。
同様のご検討をされている方の参考になれば幸いです。
投稿者プロフィール

- 2004年頃の会社員時代からブログ作成を始める。ブログ作成が楽しくなり、そのまま趣味が高じて2006年にホームページ制作で起業、2008年に株式会社ウェブロードを設立。現在は、個人・中小事業者のWordPressサイト制作・改善を中心に、Web業界18年の知識と経験を生かして、大型案件のWebディレクターとしても活動中。 プロフィールはこちら
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