こんにちは、ウェブロードの山口です。
先日、「さくらサーバーやエックスサーバーで複数のWordPressを運用しているが、データベースをアップグレードできずに困っている」というご相談をいただきました。
特に、「同じアカウントで複数サイトを動かしている場合」「データベースを共有している場合」に、この問題は表面化しやすいです。
今回は、下記の実際のさくらサーバーの管理画面、データベースの画像を元に、具体的にどういう内容なのか、何が問題になるのか、どう対処すればよいのかを整理してみます。

1. この画像が示す状態とは?
画像を見てわかる通り、ひとつのデータベースサーバー(mysql57.web-site.sakura.ne.jp)に、 「web-site_homepage1」から「web-site_homepage12」まで、12個のデータベースが存在しています。
それぞれが異なるWordPressサイトやシステムに使われています。
ここで重要なのは、これら12個のデータベースはすべて「同じMySQLサーバー(=同じバージョン)」上で動いているということです。
つまり、MySQLのバージョンを5.7から8.0にアップグレードする際には、このサーバーに含まれるすべてのデータベースが同時に影響を受けます。
1つのWordPressだけ問題がなくても、他のWordPressサイトが古い構成や互換性のないプラグインを使っていれば、特定のデータベースだけアップグレードすることができないという構造的な制約があります。
2. データベースサーバー単位でしかバージョンアップできない理由
MySQL(MariaDBを含む)では、「データベース単位」ではなく「データベースサーバー単位」でバージョンが管理されています。
たとえば「mysql57.web-site.sakura.ne.jp」というのは、MySQL5.7で動くサーバー全体を指します。
その中に「データベース1」「データベース2」「データベース3」と複数作れる仕組みになっています。
つまり、同じサーバー上のデータベースだけを個別に8.0へ上げる、といったことはできず、 アップグレードするには、MySQL8.0の新しいデータベースサーバーを別に作成し、1つずつ移行する必要があります。
このため、ひとつでも古いWordPressや非対応プラグインを抱えているサイトがあると、全体のバージョンアップが足止めになります。
このような状況になるので、自治体や企業で管理しているサーバーでは、各サイトのデータベースバージョン管理が重要になります。
3. データベースとテーブルの違い
ここで、WordPressの「データベース」と「テーブル」の違いをまとめてみます。
| 名称 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| データベース(Database) | サイト全体を収める箱 | web-site_homepage1 |
| テーブル(Table) | 投稿・ユーザー・設定などの中身 | wp_posts / wp_users / wp_options |
前述の画像にある12個のデータベースは、12個の箱を意味します。
これらの中にWordPressのテーブル群が入っており、それぞれが別サイトを構成しています。
4. 同じサーバーで異なるサイトを運用するリスク
WordPressを複数運用している場合、1つのサーバーアカウント内で複数のデータベースを作り、 それぞれ別のサイトに割り当てること自体は問題ありません。
しかし、同じアカウント内で運用していると、次のような制約やリスクがあります。
- すべてのデータベースが同じMySQLサーバー(例:mysql57)に依存している
- 1つでもアップグレード非対応のサイトがあると、他サイトのアップデートができない
- セキュリティリスクを抱えるサイトが同居していると、他サイトにも影響する
- バックアップや復元の範囲が広がり、管理ミスが起こりやすくなる
つまり、構造的に1つでも問題のあるサイトがあれば、全体のバージョンアップ計画が止まってしまう、ということです。
部署ごとにサーバー管理したり外注で保守を依頼していたりする、自治体等のサイトではよく見られる構造です。
多くのWeb事業者が入らざるを得ない場合もあり、それぞれの事業者が別の事業者が保守管理しているサーバー内で作らざるを得ない状況などは、弊社でもよくあるパターンです。
1つでも長期間運営している古いサイトがあったりすると、そこがネックになって全体のデータベースアップデートやWordPressのバージョン管理ができなくなってしまうのです。
同じサーバーを使う場合は、これらの前提を知った上で運用する必要があります。

5. どんな不具合が起こりうるのか?
実際にアップグレード後に起こりやすいトラブルを、具体的に挙げてみましょう。
| 不具合内容 | 主な原因 |
|---|---|
| サイトが真っ白になりエラー表示 | テーマやプラグインがMySQL8.0の構文変更に非対応 |
| 文字化け・保存エラー | 照合順序(collation)の違いによる文字コード不一致 |
| 管理画面でエラー | PHPとMySQLの組み合わせによる互換性問題 |
| バックアップ復元ができない | 古いmysqldump形式との非互換 |
特に「WordPressは動くのに管理画面だけおかしい」「メールフォームが送れなくなった」というケースが多く、 一部のプラグインが旧仕様のSQL文を使っていることが原因の場合もあります。
6. サーバーアカウントを分けるべきケース
まったく性質の異なるサイト(たとえば「企業サイト」と「ECサイト」など)を運用している場合は、 同じサーバーアカウント内に混在させるのではなく、アカウントごと分ける方が安全です。
これは「サイト同士を技術的に独立させる」という意味で、後々のメンテナンス性が向上します。
サーバーアカウントを分けることで、
- MySQLやPHPのバージョンを個別に管理できる
- サイトAが壊れてもサイトBには影響しない
- 検証環境を作りやすい
といったメリットが生まれます。
7. 現実的な対応手順
- 現在のサーバー内で、どのデータベースがどのサイトに使われているか整理する
- 不要なデータベースやテスト環境を削除
- MySQL8.0の新サーバーを作成し、テスト用に1サイトを移行
- 問題なければ他サイトを順次移行
- 移行完了後、旧MySQL5.7サーバーを削除
ウェブロードでは、この一連の流れをお客様の環境に合わせて安全に代行しています。
作業前に全体バックアップを取得し、テスト環境で動作確認を行ってから本番切り替えを行うため、 営業時間中にサイトが止まることもありません。
8. 同居サイトの影響を見落とさない
WordPressを複数運用している場合、データベース単位で独立しているように見えても、 実際には同じデータベースサーバーを共有していることが多く、 1サイトの判断だけでアップグレードを進めると、思わぬ不具合が発生することがあります。
まずは、今どのデータベースがどのサイトに使われているかを正確に把握するところから始めましょう。
ウェブロードでは、ロリポップ・さくらサーバー・エックスサーバー等の環境で多数の移行実績があります。
データベースの整理から、MySQL8.0へのアップグレード、WordPressの更新、そして本番切り替えまでを安全にサポートいたします。
もし同じような環境で放置状態にありましたら、問題が起こる前にすっきりアップグレードしてしまいませんか?
こちらのメールフォームから一度ご相談ください。
投稿者プロフィール

- 2004年頃の会社員時代からブログ作成を始める。ブログ作成が楽しくなり、そのまま趣味が高じて2006年にホームページ制作で起業、2008年に株式会社ウェブロードを設立。現在は、個人・中小事業者のWordPressサイト制作・改善を中心に、Web業界18年の知識と経験を生かして、大型案件のWebディレクターとしても活動中。 プロフィールはこちら
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