初めてホームページを作る方からご相談をいただくとき、共通のパターンがあります。
「こういうサイトのテイストで作りたい」「このデザインの雰囲気が好きです」というビジュアル面から話が始まることです。自分のビジネスを表現するサイトですから、見た目を大切にしたいというのは当然の感覚だと思います。
ただ、「デザインへの投資とお問い合わせ件数の関係」は、多くの方がイメージしているより相関が薄いです。この記事では、先日いただいたご相談を通じて改めて気づかされたことを書いておこうと思います。

WordPressだと安っぽく見えるのではないかという心配
先日、特定の業種のコンサルティング関連のビジネスをされている事業者の方から、ホームページ制作のご相談をいただきました。お客様の元に直接出向いて商談をされているので、「お客様が商談後にサイトを確認したときに、信頼できる会社だと思ってもらいたい」というのが制作の目的でした。
飛び込みで営業をしていると、最初の訪問では「検討します」と言われてしまうことが多く、再訪問したときにはすでにお気持ちが冷めていることがある、というお悩みもお持ちでした。ホームページがない状態だと、それだけで怪しく思われてしまう時代になっているという実感も話してくださいました。
その方が参考として見せてくださったのは、いずれもシンプルで情報が整理されたサイトでした。
「知人から、WordPressだと安っぽい雰囲気になってしまうと言われたのですが、本当ですか?」
というお話もいただいたのですが、これは全く異なります。
サイトの見た目は、WordPressを使っているかどうかではなく、どんな写真を使うか、どんなレイアウトにするかで決まりますので、同じWordPressでも、写真の質が高く、情報の構成が丁寧であれば、品質の高いサイトに仕上がります。
逆に、どんな高額なシステムや独自サイトを構築しても、使う写真が粗く、デザインにまとまりがなければ、それなりの印象になってしまいます。ホームページを作成するプラットフォームの違いというより、中身の違いのほうがはるかに影響が大きいです。

デザインの作り込みは、費用が想像以上に積み上がっていく
問題は、「あのサイトのように作りたい」という要望を丁寧に叶えようとするほど、費用がどんどん膨らんでいくことです。
メニューを開いたときのアニメーション、マウスを乗せたときの変化、カードのホバーエフェクトなど、こうした動きのひとつひとつは、追加の開発工数が乗ってきます。
例えば、「メニューの文字を大きくしたい」程度であればそれほど難しくないのですが、「メニューごとに異なる画像を配置して、マウスオーバーしたときに変化させたい」となると、それだけで追加の開発工数がかかります。
ページ数が少なくても、デザインの作り込みにこだわると50万円ではとても追いつかないということは、珍しい話ではありません。初めてサイトを作る方がもっとも陥りやすいのが、「デザインにお金をかけた分だけ成果が上がる」という思い込みです。残念ながら、そうはなりません。

問い合わせを動かすのは、デザインよりコンテンツです
では、訪問者が問い合わせをするかどうかを左右するのは何かというと、それは間違いなくコンテンツです。
具体的には、商品サービスページ、Q&Aページ、事例紹介、お客様の声です。ホームページを訪れたお客様が知りたいのは「この会社に依頼したらどうなるのか」「他のお客さんはどういう体験をしているのか」だからです。
「我々はこれができます」「こういうサービスを提供しています」という書き方は、会社側の目線です。選ぶ立場の人は、それよりも他のお客様の経験(お客様の声や口コミ情報)のほうを信頼します。会社がいくら自社をアピールしても、実際のお客様の声には敵わないのです。
その方にも、「Q&Aと事例紹介を丁寧に作りましょう」とお伝えしました。
「こういう提案が得意です」という紹介より、「こういうお客様の課題を解決しました」という事例のほうが、読んだ人の背中を押しやすいのです。お客様の名前や感想を数件でも載せることができると、訪問者が「ここは大丈夫そうだ」と感じてもらいやすくなります。
また、このご相談で改めてお伝えしたのが、「誰の視点で書くか」という問題です。
多くの方が「我々は〇〇できます」「当社は〇〇に取り組んでいます」という書き方をされますが、ホームページで成果を出すためには、お客様を主語にした書き方が必要です。
「こんなお悩みはありませんか」「こういうケースでお役に立てます」というように、読んでいる方の状況や疑問に対して答えていく構成にしてはじめて、問い合わせにつながっていきます。二人称で書くことが必要です。

コンテンツが増えると、集客の入り口が増えていく
もう1点、コンテンツを積み上げることのメリットをお伝えしました。
たとえば自業界のサービスに関するQ&Aを50問用意したとします。それぞれの質問と答えで1ページにすれば、50ページそれぞれが検索エンジンやAIの参照先として機能するようになります。つまり、コンテンツの数だけサイトへの入り口が増えていくのです。
デザインをどれだけ美しくしても、入り口の数は増えません。コンテンツだけが、検索からの流入口を増やしてくれます。
AIが普及して検索の形が変わりつつある今も、実際にサービスを依頼しようとする方はその会社のサイトに来ます。そこに、疑問に答えるコンテンツが揃っているかどうかが、問い合わせするかどうかの分かれ目になるのです。
最初は小さく作って、コンテンツで育てていく
実際にご提案したのは、「最初はシンプルなデザインで必要なページだけを作り、その後じっくりコンテンツで育てていく」という方向性です。
サービス紹介ページ、事例紹介、Q&A、お問い合わせフォーム。この組み合わせでサイトの骨格は成り立ちます。デザインの凝ったアニメーションや複雑なメニューがなくても、内容が充実していればお客様は動いてくれます。
弊社も社員3人(2026.9.17現在)で運営していますが、「もっと大きな会社だと思っていました」と言われることがあります。これはコンテンツの積み上げが、会社規模の印象を作っているのだと実感しています。
Q&AはAIを活用して質問を50問程度洗い出し、それに自分の言葉で答えを書いていきます。
事例は例えば、提案をさせていただいたお客様に簡単なコメントをいただいて、経緯や背景を自分で補足して掲載します。
そうした積み上げがそのまま信頼になっていきます。
最初から完璧な数を揃えなくても、事例から始めて、少しずつ増やしていけばよいのです。
また、コンテンツはご自身で更新できるのがWordPressの強みのひとつです。制作会社に頼まず、日々のお客様とのやり取りの中から事例を追加したり、よく聞かれる質問をQ&Aに追加したりしていけることが、長い目で見ると大きな差になります。

デザインを抑えた分のお金を、コンテンツ作りに使ってほしい
デザインをシンプルに抑えることは、「安く見える」ことではありません。読みやすくて動作が軽くて、情報がすっと入ってくる、それが今のお客様にとって快適なサイト体験になります。
表示が重くてアニメーションがもたつくサイトより、シンプルで速く動くサイトのほうが、読んでもらいやすいのです。
デザインにかけようと思っていたお金を、コンテンツ作りに回すほうが、問い合わせという形で返ってくる可能性が高いと考えています。
たとえばお客様インタビューに出向くための交通費、写真の撮影費用、Q&Aを丁寧に書くための時間、そこに使った分が、じわじわと効いてきます。
ホームページ制作を検討されている方は、「デザインよりコンテンツを育てる」という考え方を頭に置いていただくと、制作後に「思ったより成果が出ない」という状況を避けやすくなると考えています。
投稿者プロフィール

- 2004年頃の会社員時代からブログ作成を始める。ブログ作成が楽しくなり、そのまま趣味が高じて2006年にホームページ制作で起業、2008年に株式会社ウェブロードを設立。現在は、個人・中小事業者のWordPressサイト制作・改善を中心に、Web業界20年の知識と経験を生かして、自治体案件等の大型案件のWebディレクターや中小企業・個人事業主へのWeb全般のアドバイザー、SEO/AIOのコンサルタントとしても活動中。 プロフィールはこちら
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