原価情報をどこまで開示すべきか
原価情報というのは、企業にとっては時には超極秘事項にもなるくらい慎重な扱いが要求される情報です。そのため、原価が購入者にバレてしまえば、
「どこにどれだけかかっているのか」
「企業側は利益をどれくらい取っているのか」
「不当な販売価格になっていないか」
「もっと削減できる部分はないのか」
など、企業側が不利な状況に追い込まれると考えがちです。これは、大手電力会社が情報開示を渋っている点を見ても明らかです。開示することはやましいことがないという証明にもなります。原価情報をどこまで開示すべきかという点を見ていきます。
①原価情報開示におけるメリットとカラクリ
原価情報をオープンにするためには、開示しないより開示するほうがメリットがあるということが前提です。
「原価情報を開示しない < メリット < 原価情報を開示する」
が成り立ちます。
原価開示の際のメリットとしては、
- 信頼される
- 安心感を与えられる
- 悪いことは出来ない( はず)
逆にデメリットとしては、
- 同業他社に参考にされる ( 手の内が丸裸になる)
- 値引き要求されやすい
- 常に情報の更新が求められる
などがあるでしょうか。
例えば、ある住宅メーカーで「サッシの取付工賃 5,000円」で公開されていたとしても、ひとつの住宅でこれらの工賃や材料がトータルでどれだけ掛かっているかは、普通は購入側には分かりません。
販売側は、例えば全ての原価情報を購入者に報告したとしても、購入者の方もほとんどはその情報の多さに、「これだけオープンにしているのだからまず間違い無いだろう」と考えるのが普通です。ひとつひとつ計算をパソコンでやり直す人もたまにはいるでしょうか、まず販売側の計算に間違いはないです。
つまり、原価を細分化して分かりやすく開示すればするほど、購入者側ではトータルのコストを販売側に委ねやすいという側面が出てきます。
原価開示における安心感や信頼感が、上述のデメリットよりも大きくなるのです。
原価を開示しているはずなのにその原価情報には目もくれず、情報を出してくれているという安心感が独り歩きするその瞬間が分岐点となり、事業者が狙うべき立ち位置になります。出し過ぎないレベルの情報は事業者によって異なります。
それ以上の細かい原価情報の開示は、事業者側の管理費用増大に繋がるため、コスト削減という本来の目的そのものに反してしまいます。
②中小事業者は情報開示がものをいう
これらの例からも明らかなように、中小事業者にとっての原価情報開示は、メリットがデメリットを上回る場合がほとんどです。うちの事業形態では原価開示のためのコストはそれほど掛からないという事業者はすぐにでも取り掛かるべきです。
今までの社会の流れから言うと、原価情報なんて企業秘密だという考え方がまだまだ多くを占めていますが、大勢がそういう状態である今がチャンスなのです。原価開示をすることによるわかりやすさは下記の例でもお分かり頂けると思います。
A家具・ ・ ・ 材料費 10万円、制作工賃 8万円、運送費 2万円=販売価格 20万円
B家具・ ・ ・ 販売価格 20万円
全く同じ商品だとすれば、どちらのほうで買おうと思いますか?
A家具は思った以上に材料費を投入しているとか、運送費に2万円も掛けているのかとか、これだけでもいろいろな意見が出て来るはずです。
もしかして、私の予想外のB家具を選ぶという方もおられると思います。
その場合は、A家具の原価の出し方が上手くなかったということで、出し方によってはもちろんリスクを伴います。しかし、原価をオープンにすることで信頼性という見えないブランドを築く一歩を踏み出したことも事実です。
どこまでオープンにするかは販売者次第ですが、少なくとも、様々な情報がオープンになっているネット社会においては、お客様の信頼をつかむために情報公開の努力をし続けなければならないということです。
今回は原価ということでその観点から書きましたが、情報開示による信頼性のアップは事業の発展のためには欠かせないものとなりつつあります。
開示したからには情報の更新をし続けなければ諸刃の剣であるということを肝に銘じて、できる限りの情報をオープンにするようにするよう心掛けてみて下さい。社内管理は大変ですが、その分メリットは将来じわじわと効いてきます。そんな情報管理はもちろんあなたの会社のホームページでできます。
ログインした方だけが価格を閲覧できるようにするとか、ホームページでお客様のニーズを満たす情報を掲載し、サイトにしていくことはこれからの時代の必須事項です。ホームページの修正や改善を継続していけば、Webからの集客力アップや販売数アップにつながります。
会員向けサイト構築も弊社の得意分野ですの、このようなサイト運営を考えておられる方はお気軽にお問い合わせください。
山口 敦
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