先日、関西圏で事業を展開されている中小企業の担当者の方から「今のサイトを全部作り直したい」というお問い合わせをいただきました。
現在の状況をお伺いして、次のステップについてお話しさせていただいたのですが、その後ぱったりと連絡が途絶えてしまいました。
弊社に届くお問い合わせで、こうした状況は特に珍しいものではありません。
メールでやり取りをして、お見積もりまで進んだにもかかわらず、その後に連絡が途絶えることもよくあります。
理由はさまざまで、恐らく、もう一度考え直そうと思われたり、複数社への相見積もりの結果として別の会社に依頼されたり、企画段階で構想を練り直すことになったり、想定とは異なった何かがあったのだと思われます。
いずれにしても、リニューアルや新規制作を検討し始めた段階では、多くの方が迷ったり、手が止まったり、再考したりする局面があるようです。

なぜこうした状況が起きるのかを整理してみます。
第一印象や相性が合わなさそうということもあると思いますが、企業間取引で一番大きいのは、目的が固まる前に「何を作るか」という話から始めてしまっていることだと思います。
デザインを新しくしたい、スマートフォンに対応させたい、という気持ちは自然ですが、それだけでは制作会社への依頼の基準が定まりません。
目的が曖昧なまま見積もりを取ると、比べようのない提案がいくつも並ぶことになり、判断に時間がかかってしまいます。
2つめの理由は、費用感がつかめないことです。
ホームページ制作の費用は依頼先や機能の範囲によって大きく変わります。初期費用の安さだけで選んでしまうと、公開後の修正や不具合対応のたびに追加費用がかさみ、結果的に割高になることがあります。
3つめは、リニューアルの場合の旧サイトの扱いです。
長年運用してきたサイトを閉鎖する際には、URLの整理や問い合わせフォームの引き継ぎ、ドメインやサーバーの移管など、意外と手間のかかる作業が発生します。
誰が担当するのか、外部に任せるのかが決まらないまま話を進めていくと、途中で手が止まってしまうことも多いようです。

まず「目的を一文で言えるか」から確認する
リニューアルのご相談を受ける際に、私が最初にお聞きする内容はリニューアルの目的です。
集客を強化したいのか、問い合わせの質を上げたいのか、採用に活かしたいのか、古いデザインによる信用低下を防ぎたいのか、目的によって、必要なページ構成も、制作会社への発注内容も、まったく変わってきます。

弊社でご相談を受けた案件の中に、こういうケースがありました。
「集客のためにリニューアルしたい」とおっしゃっていた会社の担当者の方が、話を整理していくうちに「本当に強化したいのは人材採用であり、採用のページを強化したかった」という内容であったことが分かった事例もあります。
リニューアルの軸を採用サイトに切り替えて構成を見直した結果、採用に関しては外部プラットフォームを利用しなくても、期待通りの集客ができるようになりました。
制作する目的が決まれば、制作会社への依頼内容も、費用の使い方も、自然と整理されてきます。
まずは目的を明確化することがリニューアルの出発点です。

費用は初期だけでなく年間で考える
次に、予算を考えていく上で大切なことは、初期費用のお見積もり金額だけで考えるのではなく、公開後に発生する費用も考慮しておくということです。
具体的には、ドメインやサーバーの維持費、SSL証明書の更新費、保守や更新作業にかかる費用となります。
弊社では初回のご相談時に、制作費と保守費を合わせた年間コストの目安をお伝えしています。
公開後のコストを先に把握しておくことで、長期的に無理のない運用ができるかどうかを判断しやすくなるからです。
初期費用が安くても、更新や修正のたびに都度費用がかかる体制では、1〜2年後に想定外の出費が重なることがあります。反対に、月額の保守費が少し高めでも、軽微な修正まで含まれているほうが、トータルで見ると安くなることも多いです。
金額の比較は、長期運用を前提とした年間ベースで考えることが重要だと考えています。
また、制作会社を選ぶ際に大切なことは、費用だけでなく、公開後にどこまで対応してくれるかという内容です。更新を依頼した場合の対応スピード、お問い合わせへの返信の早さ、保守の範囲がどこまでかといった点は、契約前に具体的に個別に質問して確認しておくべき内容です。
近年はAIによる検索の広がりに伴い、専門性や実績を明確に示すページ構成が評価されやすくなっています。
一般的な内容よりも独自のオリジナルな事例などの情報の方が価値が高まっています。こうしたAIの動向の変化を理解しているかも、制作会社を見極める基準の一つになります。

旧サイトの閉鎖は早めに計画する
リニューアルで特に注意が必要なのが、旧サイトを閉じるタイミングです。
以前、10年以上運用されてきた企業のサイト切り替えをお手伝いした際のことを少しお話しします。
旧サイトにある人気ページのURLをそのまま消してしまうと、GoogleからのSEO評価がリセットされ、検索からの流入が落ち込むことをお伝えしました。
こうした場合、旧ページから新ページへのリダイレクト設定を行い、お問い合わせフォームや電話番号などの導線を新サイトにきちんと引き継ぐことが欠かせません。
弊社では切り替え前に旧サイトのアクセス解析を確認し、流入の多いページをリストアップしたうえで、新サイト側に対応するページを設ける手順を取っています。
基本は、「.htaccess」ファイルに記述する301リダイレクトという対応ですが、この作業をせずに切り替えてしまうと、公開直後からアクセスが減少し、リニューアルの効果が測れなくなってしまいます。
また、チケット販売や予約受付の窓口を持つサイトでは、切り替えのタイミングそのものにも注意が必要です。販売期間中に旧サイトを閉じてしまうと、お客様が混乱してしまいます。繁忙期を避け、余裕のあるスケジュールを組むことが大切です。

制作依頼の前に用意しておくもの
制作を依頼する際に、あらかじめ手元に用意しておくと打ち合わせがスムーズに進む資料があります。
- 会社案内やロゴデータ
- これまでに撮影した写真
- お客様からよく聞かれる質問や相談の内容
特に、お客様からよく来る質問は、そのままサイト内のFAQページやサービス説明文としてページ展開します。こうした情報を事前に共有いただくことで、サイト自体も充実した集客しやすい構造に変わっていきます。
逆に、この情報が制作会社に伝わらないまま進んでしまうと、実際の業務内容とかけ離れた一般的な文章のサイトができあがり、思ったような集客の効果が出ずに、公開後に文面を作り直すなどの作業が発生することも出てきます。
弊社でも「以前の制作会社にホームページ制作を丸ごとを任せたら、文章も一般的などこにでもあるような内容になっていた」というお声をいただいたことがあります。
ホームページに掲載する情報は、特にAIが普及した現在では、AIが自動生成するような文章をそのまま掲載するのではなく、積み上げた独自ノウハウがしっかりと書かれた文章や、お客様の事例の紹介など、唯一オリジナルな内容で公開していくことが成果を出すための近道なのです。

公開後に振り返りの機会を作る
ホームページで成果を出そうと思えば、継続的な情報発信の拠点にするという意識が一番大切です。
リニューアル後は、どのページにアクセスが集まっているか、お問い合わせフォームからの入力がどれくらい増えたかを定期的に確認し、必要に応じてページの内容を見直していく体制を整えておくことで、リニューアルの効果を長く維持できます。
弊社では、継続サポートである、「伴走サポート」「SEOサイト改善&コンテンツ制作サービス」をサイト制作後も継続してご契約くださっている方には、公開後も定期的にお客様と一緒に、アクセス状況の確認やどれだけ成果が出ているかの振り返りの機会を設けるようにしています。
ホームページ伴走サポート
このページの内容をAIに対談させた音声です↓ このサービスは、「個人トレーナー付きのジム通い」のようなものです。一人では続かない運動(サイト運営)も、そばで励まし、フォーム(更新方法)を教え、成果が出るまで一緒に走ります […]
SEOサイト改善&コンテンツ制作サービス
このページの内容をAIに対談させた音声です↓ このサービスは、「畑を耕して、作物を育てて、売り場に並べる」作業の代行です。土壌(サイト構成)を整えて、種(キーワード)を選び、水やり(記事投稿)を続け、実った成果を多くの人 […]
アクセス解析を見ながら「このページに来た人がどこで離脱しているか」「お問い合わせページまで辿り着いているか」「検索エンジンや AI の参照元として取り上げられ、それらからアクセスを獲得しているのはどのページか」を一緒に確認し、必要な改善を少しずつ加えていきます。
コンテンツの適時投入に加えて、改善を継続していくことが長く使えるサイトを育てていく方法です。
「作って終わり」ではなく、動かしながら育てていくことが、リニューアルを本当の意味で成功に近づける一番の方法だと感じています。
投稿者プロフィール

- 2004年頃の会社員時代からブログ作成を始める。ブログ作成が楽しくなり、そのまま趣味が高じて2006年にホームページ制作で起業、2008年に株式会社ウェブロードを設立。現在は、個人・中小事業者のWordPressサイト制作・改善を中心に、Web業界20年の知識と経験を生かして、自治体案件等の大型案件のWebディレクターや中小企業・個人事業主へのWeb全般のアドバイザー、SEO/AIOのコンサルタントとしても活動中。 プロフィールはこちら
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